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奈良県の外国人観光客の取り込み

ちょうど選挙期間中なので、こういうテーマで考えてみます。


いつものように、奈良県の活性化というのが知事選のテーマになっていて、その中で、外国人観光客を呼びこむというのがひとつの争点となっています。


そこで、奈良県を訪れる外国人観光客について調べて、今後、外国人観光客を増やすためにどうすればいいのかを考えてみる。

日本全体を訪れる外国人観光客は、2011年は震災の影響で減っていますが、基本的に増加傾向に有ります。これは円安の影響が大きいですが、海外の日本ブームに加えて、政府や自治体による訪日キャンペーンの効果も無視できないかと思われます。

奈良県の最近のデータも調べてみました。

上の図で見ると、奈良県に来る外国人観光客も同様に増加していますね。ちなみに、平成24年の奈良県への訪問率では全国で12位(3.4%)となっていて、同じ関西圏の大阪府(24.0%)、京都府(17.3%)、兵庫県(5.7%)についで4位となっています。これだけ観ると、かなり健闘しているように思います。


次に宿泊数を見ていきます。

訪問者のうち、奈良県内に宿泊する外国人の割合は25年の時点で、36.1%となっています。ほとんどの方は、京都や大阪に泊まっているものと思われます。


ちなみに、宿泊施設に関するデータ(PDF)がありました。ホテルの客室数が、平成に入ってから6倍近く伸びており、平成24年で2925室あります。宿泊施設の稼働率はあまり高くない状況ですので、ホテルの客室は十分に供給されているように思われます。


次に、どこを訪れたのかですが、奈良県外国人観光客動向実態調査(H24)によると、特に訪問客のほとんどが、東大寺春日大社興福寺など奈良公園周辺の観光地で北部地域に集中しているのがはっきりとわかります。



なぜ奈良を訪れる観光客は奈良公園周辺に極端に集中するのか?

実は、奈良観光行政の最大の問題がここにあります。大抵の観光客は、東大寺の大仏を見て、奈良公園のシカを見て、余裕があったら他の社寺仏閣を訪れる程度なんだろうと想像できますがどうでしょうか?
訪問客はそれなりに多いにもかかわらず、奈良公園周辺の観光ルートも同じような場所ばっかりに偏っている。歩いていける範囲の周辺スポットへの誘導をもう少し上手く出来ないかという感じがします。

奈良公園周辺を訪れる観光客の流れを変えることで、周辺のスポットの活性化を図りながら全体の魅力向上につなげていくことが重要ではないかと思います。


中和地域に観光客を呼ぶにはどうするのか?

次に中南部地域への観光客の少なさですが、北部と中南部は距離的にも遠いため、基本的に別々に考えたほうがいいと思います。個人的な考えですが、奈良県北部の歴史のある社寺仏閣を中心にした観光スポットに対して、中南部地域では、自然の多さを活かした多様性のある観光体験をPRしていくべきではないかと思います。


では今後、どうしていけばいいのか?

今のところ、外国人観光客の誘致は成功しているようにおもいますが、今後は、従来の有名な観光スポットに頼るだけでは大きな改善は期待できないということははっきりしているように思います。


その理由には2つあります。


ひとつは、有名スポットが東大寺周辺に偏っていること。
東大寺奈良公園にしか行く目的がないのに、奈良でホテルに泊まるのか?」という疑問があります。かといって、東大寺を見た後、中部地域の社寺仏閣にも行ったところで観光体験としてそこまで満足感が得られるとは思えません。


もうひとつは、歴史遺産以外の観光体験をほとんどPRしてこなかったからです。すべての人が社寺仏閣に興味があるわけでは有りません。むしろ、社寺仏閣に興味のない層に対してどうアピールしていくかが重要なのです。


中南部地域は、自然が非常に豊かです。四季を通して、様々な花の名所が点在しています。南部は、ほとんどの奈良県民も行ったことがない秘境(笑)があり、温泉もたくさんあります。
この辺を合わせてPRできればもっと魅力的な観光地になるのではないかと思っています。


最後に。

奈良県民としては、東大寺奈良公園を訪れただけで、奈良の価値を分かった気にならないで欲しいということを言いたいと思います。あまりアピールしていないだけで、他にもいろいろと魅力的なところが有ります。
個人的には、ありきたりな観光政策がほんとうに意味がある気がしません。最近は観光行政も変わりつつあるように感じますので、今後はもっとソーシャルメディアを活用したり、いろいろな取り組みを期待したいところです。